Evernote 改悪しつつもメディア保管庫としてはまだイケる

feature-image

Evernoteの改悪によるあまりの使い勝手の低下に、10年超の長きに渡りお世話になった自分もついに課金をやめました。

現在、ノート的なアプリは Notion を使っていますが、Evernoteには移行を急がない古いデータが残っていて、たまに起動しては参照専用で使っています。

それにしても、やっぱり Evernote は酷いなぁ・・・昔は最高だったのに、どうしてこんなことに・・・と悲しみを感じながら、Googleで「Evernote ひどい」と検索し、同じ悲しみに苛まれているユーザーの声を探してみました。

なお、アンチ Evernote ではなく、もともとは Evernote が大好きでした。また、課金はやめましたが今でも限られた一部のケースでは利用し続けています。

Evernote の改悪を悲しむ声

過去に、同一アカウントへ接続可能な端末を減らして無料ユーザーを蹴散らしたときはネットでもちょっとした騒動になった。が、プレミアムユーザーにはクソどうでもいいことだった。金を払って使え。月にたった数百円だ。それで解決する程度のもんだ。

(中略)

はっきり言うとEvernoteは昔の機能のままでも全く困っていなかった。それまで自分でフォルダを作ってワードとエクセルとメモ帳でまとめていたようなものが一括でまとめられ、なおかつネットの接続があればどこでも複数の端末で接続可能というアプリの登場には心の底から感激したものだ。スマホとの相性も抜群でこのサービスは月一万円でも絶対に使うと周囲の人に言っていたものだ。ふむ。
まさかEvernoteを使わなくなる日が来るとは……

Evernote歴9年目のダイハードユーザーが改悪アップデートに絶望して脱Evernoteを決意。|shukua|note

同じ気持ちです・・・。今後もEvernoteよろしくって気分でした。

デバイスの同期数の制限は「ケチくさ」と当時思ったものですが、もともとEvernoteの使い勝手に満足して課金していたので、どうということはありませんでした。

もはや身体の一部になっていたEvernoteですが、昨年から改悪アップデートが続きます。細かいことを書いたらキリがありませんが、一番我慢ならないのは「動作がもっさり重たいこと」です。

Evernoteが遅いと頭の回転や仕事をこなす速度に支障をきたします。ずっと使ってきたので多少の不便さには我慢するつもりでしたが、こちらの記事を読んで「昔のEvernoteが戻ってくることはもうないんだ」と悟ってしまいました。

10年目の別れ、さようならEvernote… | 福原将之の科学カフェ

そうなんです。「動作がもっさり」という話が目立ちますが、有料歴10年クラスのユーザーさんが口を揃えて言っているので、にわか利用者が「重い」とディスるのとは意味が違います。Evernote にどっぷりと浸かっていた方々が口を揃えて動作が遅いというわけですので、やはり主観ではなく致命的な問題なのでしょう。

昔の Evernote が戻ってくることはないという表現に哀愁が漂いますね。

新しい Evernote で残念だった部分

新しいとは言っても、もうどのくらい前の話だったか曖昧です。1年前くらいだったでしょうか。

新バージョンを起動した直後の印象は「おっ、綺麗になったか?」とワクワクしましたが、その期待は1分も持たずに崩れ落ちていったのを覚えています。

  • 一度に選択できるのが50行まで
    • 50件のノートを消すだけなのに1分以上かかる
    • 1ノートずつ削除リクエストをしているのか・・・?
  • 上限の50件を一気に選択するために Shift + クリックをしても全く反応しないことがある(苦笑)
  • 明らかにレスポンスが悪い場面が増えた
    • スマホアプリが起動しない時もたまにある(たぶん同期に時間がかかっているだけ・・・かな?)
  • どうみても一致しているノート件名が検索でヒットしないことがある(原因不明)

挙げればキリはないのですが、もうこれだけでノート編集の生産性が激落ちなのでありえないです。

古いバージョンの Evernote をインストールする

旧バージョンの Evernote アプリって一応使えます。 Evernote Legacy という名前で提供されています。

ただ、公式にも言われているように最新の機能やバグ、セキュリティの修正、およびパフォーマンスの改善を体験するには、最新バージョンの Evernote を使うことが推奨されています。また、若干の機能の制限もあるようです。Evernote サービスそのものの基盤は刷新されてしまっているので、一部で互換性がないようですね。

以前のバージョンの Evernote をインストールする – Evernote ヘルプ&参考情報

最終手段としては用意されているものの、いつなくなるか分からないので、あまり前提にしすぎない方がよいかと思います。

まだ Evernote から抜け出せていない唯一の使い道

何年もの間、書類のスキャン用に ScanSnap を利用しています。

スキャナー製品情報 | スキャナーならScanSnap | 富士通(Fujitsu Japan)

「スキャナで読み込んだ書類(PDF)をそのままEvernoteに保存する」という一連の流れがオフィシャルにできるので、書類の吐き出し場所として都合がよかったのです。さらには、EvernoteならPDF内部の文書を検索できますよね。

Evernoteが普通のノートアプリと違って強いのはこういう部分だと思います。 あらゆるデータをEvernoteに放り込むことができ、「ノート」という域を超えた「メディアデータベース」として使えていたわけです。

もちろん Notion でもそこまで不便なくPDFの保存もできるわけですが、感覚的には「添付している」というものです。一方、Evernoteは「融合している」という感じでしょうか。気が向いたときに「Evernoteを完全廃止する術はないだろうか」と調査するのですが、メディアを気軽に放り込んでおいて、必要なときに検索して探す使い勝手に限ると、なかなか代替品が見つかりません。

ということで、未だに ScanSnap からの書類は Evernote に送りつけている状態ですが、このフローも追々は見直していきたいなと思っています。

Mac や iPhone ユーザー向けの「ノートアプリ」の選択肢

リアルな手帳が人によって好みが分かれるのと同様、アプリのノートでも好き嫌いが大きく分かれるものだと思います。ですので「ノートアプリは○○が最強!」という主張はありえないですよね。

いくつかのサービスを試し、相性がいいものを見つけていくものだと思います。

ここでは2つ紹介します。

Notion

Notion - One workspace. Every team.

2021年に日本語対応し、人気爆上がりのノートアプリ(サービス)です。単純に「ノートとして」の使い勝手は Evernote なんかよりも圧倒的に自由度が高く、あらゆるニーズに対応できるのではないか、とさえ思います。

ITエンジニア向けの表現をすると、Notion は複数のViewを有するデータベースを軸にしてノートを構成するシステム という捉え方がしっくりくるかも(?)しれません。

私が使い始めてすっかり惚れ込んでしまい、5時間ほど使い込んで即課金を決めてしまいました。

なお、「何かを記録するノートという目的」としては Notion は Evernote の代替になりますが、Evernote っぽくノートアプリを使うための存在としては異なるものだと感じます。完全に新しいアプリ(およびユーザー体験)に引っ越すつもりで捉えましょう。

Textwell

Textwell - The Modeless Textbox for iPhone, iPad, iPod touch, Mac, and Watch.

ノートではないですがついでに。 独自のアクション(マクロ的なもの)を自由に追加して拡張することができるテキストエディタです。

ガッツリこれに向かってライティングしているヘビーユーザーもいる様子。 個人的には、ちょっとしたメモやカンペを MacBook と iPhone (iPad) 間で行き来(データのコピペ)をするためにスクラッチパッドとして利用しています。iCloud 経由でテキストを同期してくれるので、お手軽で気に入っています。

「アクション」って聞くと一見面倒くさそうですが、使わずにメモ置き場として使うだけでも全然アリです。 テキスト情報のデバイス間転送するために Evernote に一時的にメモする使い方をしていた場合は代替になる可能性があります。

そんな用途なら、Apple標準のメモアプリでいいんじゃない?という声も聞こえてきそうです。実際、よいと思います。

ただ、Appleのメモアプリって複数のノートを作れちゃいますよね。 複数のノートを作る規模の場合は、Evernote や Notion を使いたいのです。 そういう意味では Textwell のように 「開いている1ページしかない」という制約がアプリ同士の役割を明確にしてくれるので心地よいのです。